クオリアメルマガ

プライドをもって製品開発


皆さんはデザイン家電はお好きでしょうか?±0(プラスマイナスゼロ)、cado、ヤコブ・イェンセンなど様々なブランドがあります。おしゃれ好きな私は、できればデザイン家電を購入したいと思ってしまいます。実は、弊社の別会社の「リアルフリート」の名称は、私が好きだったデザイン家電アマダナの旧社名から付けました(笑) 様々なブランドが出ていますが、デザイン家電の代表といえば「BALMUDA(バルミューダ)」です。




バルミューダの魅力は、大手家電メーカーにはない斬新なアイデアと、おしゃれで機能的なデザインですが、その中でもコロナ禍でヒットした「トースター:BALMUDA The Toaster」が代表例でしょう。弊社にも少し前までありました。独自のスチームテクノロジーを採用しているこのトースターは、付属の小さなコップで少量の水を注ぐことで、焼き上がりが「外はカリカリ、中はもっちりふわふわ」という「窯から出したばかりのような食感や風味」が再現できます。価格は通常のトースターの数倍強の高級品ですが、2015年の発売から累計で100万台以上も売れているようです。すごいですよね!





この大ヒット製品のトースターを看板に、2020年東証マザーズへ上場。製品としては空調家電、調理家電、掃除機などを展開しています。売上規模約176億(2022年12月期)で、大手総合電機メーカー(例えばパナソニックの家電事業で約2兆円規模)に比べてかなり小さな規模ですが、大手メーカーにはない独自性と芸術性が魅力的な会社だと思います。




例えば、バルミューダは企画開発と販売に注力する体制で自社工場を持たず、製造は中国や台湾、国内の工場に製造委託する水平分業体制を敷いていて、そのため営業利益率は10%台(パナソニックは3%程度)と高いのです。また、白物家電と呼ばれるキッチン用品に黒物家電(AV製品等)のデザイン性や表面処理を採用し、スイッチやダイヤルひとつにも操作感と高級感にこだわるプロ仕様のテイストが魅力的で、すでに成熟した汎用品市場の中でも、高単価販売が出来ていることが特徴として挙げられます。




価格については、社長が「消費者感覚」に基づいて開発の初期段階で大体の販売価格を決めているそうです。それでも売れるのは「高収入の男性」を販売ターゲットとした『本物志向』『デザイン性』の追及と「クリエイティビティーによってお客様に選ばれている会社である」というプライドを以て製品開発と創意工夫を繰り返しているからでしょう。





例えば、「そよ風のような扇風機」「窯から出したばかりのパンの味を再現するトースター」といったコンセプトを立ち上げ、エンジニアとクリエイティブチームが一丸となって新たな製品開発に挑みます。そして完成した製品は「バルミューダ ザ・〇〇」という1つの型のみで展開し、発売したら5年~10年はモデルチェンジをしません。また価格も定価販売が基本です。一般的に家電品は年に2度程度モデルチェンジを行い、旧型はセール対象となって価格競争が巻き起こりますが、バルミューダにはそれがありません。つまり買った後に直ぐに古くならない点も魅力のひとつです。




物語仕立ての開発背景も、バルミューダのブランド力を支えています。例えば、掃除機については「クイックルワイパー派だった社長が、自分でも欲しいと思える理想的な掃除機を作り出すまで」という物語が販売時のパフォーマンスとして用意されていたようです。




最近では「BALMUDA Phone」でスマートフォン市場へ参入しました。思ったようには売れていないようですが、従来の大手総合電機メーカーにはない独自性と芸術性のある家電にはとても興味を惹かれるものです。バルミューダの次の展開に注目したいですね。




クオリアメルマガ

最新記事一覧へ