スタッフを増やすとき何を基準にしていますか?
おはようございます。クオリアの山田です。
本格的に寒くなってきましたが、
こんな日は暖かい室内でクオリアのメルマガを
読んでみてはいかがでしょうか。
さて前回は、人件費計画の基本的な立て方をお話しました。
今回は1歩踏み込んで、
1つの指標をもとに『人件費』を考えていきます。
ぜひ自社と照らし合わせ、
人件費が適切かどうかを判断する材料にしてみてください。
それでは「脳レッジ!!」スタートです。
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財務部門「脳レッジ!!」第25回:
人件費計画「労働分配率」
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会社が適正な人件費を算出するための指標のひとつに、
『労働分配率』があります。
労働分配率とは、会社の売上から変動費を差し引いた
限界利益(粗利)に対する、人件費の割合のことを指します。
計算式にすると、
労働分配率(%)=人件費 ÷ 限界利益(粗利)×100
これによって、
粗利に対して人件費がどれくらい占めているのか
がわかる指標です。
図にするとこうなります。
この労働分配率の基準は業種で変わりますが、
30~60%といわれています。
粗利に対し人件費の割合が40%以下であれば優良、
40%~50%の範囲で普通、
60%を超えている場合は理由を考える必要があります。
それでは、
この労働分配率を下げ優良に近づけるには
どうしたら良いでしょうか?
スタッフの給与を下げる!…というわけにはいきませんから、
1人あたりの限界利益(粗利)を上げる、
つまり1人あたりの生産性を上げることで労働分配率が
下がることになります。
この労働分配率をつかうと適切な人件費がみえてくるとともに、
スタッフを増員するときの指標にもなります。
では次の企業の場合、来期の計画で増員をしてもよいでしょうか?
【企業情報】
□社員数:10名
□年間人件費:4,000万(1人あたり平均年収400万)
【現状】
年間売上:8,000万円(1人あたり売上高800万)
限界利益率(粗利率):80%(粗利:6,400万)
※労働分配率:62.5%
【来期計画】
年間売上目標:10,000万円(1人あたり売上高1,000万)
限界利益率(粗利率):80%(粗利:8,000万)
※この企業が必要な利益を確保するための目標労働分配率:50%
それではまず、労働分配率をつかって現状分析から
していきたいとおもいます。
【現状分析】
①来期計画の目標労働分配率50%を基準としたとき、
現状の粗利に対する労働分配率50%の適正人件費は、
適正人件費 = 現状粗利6,400万 × 目標労働分配率50%
適正人件費 = “3,200万”
になります。
②適正人件費を現状の1人当たりの平均年収400万で割ると、
適正人数 = 適正人件費3,200万 ÷ 現在の平均年収400万
適正人数 = 8名
現在の人数が10名ですから、適正人数の8名より、
“2名オーバー”している計算になります。
それでは計画の売上目標を10,000万円にした場合は
どうでしょうか?
【計画分析】
①計画粗利8,000万
÷ 目標労働分配率50%
計画人件費
= 4,000万
②計画人件費4,000万
÷ 現在の平均年収400万
適正人数
= 10名
つまり、10名に平均年収400万を支払っている状況で
売上計画1億円に対して増員をすると、生産性が下がり、
利益を圧縮することになります。
それでは、どうすれば増員できるでしょうか?
①売上を上げる
②粗利率を改善する
増員するスタッフの人件費の増額分に対して、
労働分配率が50%になるようにすれば、
利益を確保した上で、増員をすることができます。
それでは、
年収300万円のスタッフ1名を増員したい場合、
①売上高はいくら必要でしょうか?
②粗利率を改善する場合、何%必要でしょうか?
また次回お話しいたします。
人材は人財といわれるように、人の採用は投資でもあります。
人材の確保が困難といわれている中で、自社の数値を分析し、
将来の展望を予測しながら計画していくことが重要になります。