あっという間に5月に入りました^^
1月からすでに5ヶ月も経過したかと思うと、
とても月日が過ぎるのは早いものです。
今回の月イチ「脳レッジ!!」は、
少し前にメディアでも取り上げられた
旅行代理店業「株式会社てるみくらぶ」について
お伝えしていきます^^
「株式会社てるみくらぶ」といえば、
利用者数もかなり多い人気の旅行代理店でしたね。
でも、そんな人気の旅行代理店で何が起こったのか?!
メディアでいろいろ報道されていますが、
今回はその“裏側”をのぞいていきたいと思います^^
裏側・・・どんな財務状態だったのかです・・・
それでは月イチ「脳レッジ!!」スタートです!
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月イチ「脳レッジ!!」第104回:
なぜ「てるみくらぶ」は
経営破綻したのか?!?裏側に迫る!
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「株式会社てるみくらぶ」の現況については、2017年3月27日に
破産手続きが開始されました。
その試算表を、東京商工リサーチが公表しています。
(※決算書ではないです)
(出典:東京商工リサーチ TSR速報(大型倒産情報・注目企業動向)
試算表については、
速報性を重視するため、正確性には欠ける可能性があります。
そして・・・今回の「株式会社てるみくらぶ」の試算表は、
貸借対照表(B/S)のみで
損益計算書(P/L)はありません。
要するに試算表であるため100%正確ではないのと、
貸借対照表のみの解説となるのでご了承下さいね^^
そして・・・
今回の試算表ですが、
平成28年9月期(=平成28年9月30日現在)と、
平成29年3月23日現在の比較データが出ています。
この約半年の間に、
一体何があったのか見ていきましょう!
(出典:東京商工リサーチ TSR速報(大型倒産情報・注目企業動向)
まず、何より目を引くのは債務超過(資産–負債)です。
資産(財産)より負債(借金等)の方が多い状態を、
債務超過と呼びます。
聞いたことありますよね^^
債務超過の場合、会社が所有している
全ての財産をお金にしても、借金等を
全額返済するのは
不可能だということです。
「てるみくらぶ」の財産状態は、
平成29年3月23日現在で資産(財産)が
約27億円、
負債(借金等)が約
153億円です。
財産より、負債(借金等)の方が
圧倒的に多い状態なのです!
そのため、負債(借金等)の方が
約126億円多いという考え方です。
とんでもないことになっていますよね・・・
平成28年9月30日で債務超過が約75億円。
半年で約51億円も増えたということになります(*o*)
恐ろしいですよね・・・
今回の半年間の試算表で
気になった4項目です。
H28年9月期 |
平成29年3月23日 |
増減 |
現預金 |
14 |
2 |
△12 |
貸付金 |
80 |
80 |
- |
借入金 |
23 |
32 |
9 |
前受金 |
70 |
100 |
30 |
(単位:億円)
現預金が12億円減って、さらには貸付金があること。
そして、借入金が9億円、
前受金が30億円増加・・・
お気づきでしょうか?!?
ただ単に現預金が12億円減っただけではありません!
現預金は
合計51億円会社から流出しているのです・・・
こんなキャッシュフロー(お金の流れ)になります。
借入金が9億増えたはずが、
現預金がそのぶん増えていないため9億マイナスになります。
そして、前受金は30億増えているはずなのに
資金がそのぶん増えていないので・・・30億マイナス・・・
さらには現預金が2億マイナスしているので・・・
現預金が純粋に2億円マイナス^^;
よって資金が合計51億円マイナスになったことになります。
なぜ流出したのか・・・
この貸借対照表からだけでは原因は分かりません。
報道でも言われている
損益計算書の
広告費が膨大に増えすぎたのか?
(51億円かかったかどうかは怪しいですよね^^;)
人件費が51億円増えたのか?
それともなんだかの
特別損失処理で資金が流出したのか?
損益計算書も見てみたいですね!
また進捗があればご報告します。
さらには4項目の気になる
詳細をお伝えすると・・・
貸借対照表上の注意科目でもある
「貸付金」。
8億円あるというのか、8億円もあるというのか・・・
みなさんの会社には貸付金はありますか?
金融機関が一番嫌がるものですね!
恐らく
グループ会社へ貸し付けしているものでしょう。
資金がないのに貸し付けるのはおかしな話ですよね・・・
また、負債の中にある
「前受金」。
旅行予定の顧客から入金された旅行代金のうち、
旅行実施前に頂いているお金が前受金です。
平成29年3月23日時点で、約100億円あります。
旅行が実施できないなら、
この100億円は顧客に
返金されるもののはずです。
しかし、会社の資産(財産)総額が約27億円・・・
どう考えても前受金の全額返金は、
ほぼ不可能なのです^^;
商売の形態上、前受金が頂けるため、
業績が伸びている過程では
資金が
どんどん貯まっていくわけですが、
その際に
資金の運用方法や将来の資金繰り、リスク計算が
できていないと今回のような失敗を招くわけです。
さらっと見てみても
これだけ多くの問題が見えてくるわけです。
わかる方にはわかりますが、
この半年間の動きに限らず、
すでに平成28年9月期時点でいつ潰れても
おかしくない状況だったわけです。
会社の大きい小さいはありますが、
日頃からの数字チェックが必要ですよね!