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外食業界の次の一手は?

2023年9月4日 月曜日

多くの企業が人手不足に苦しんでいますが、その中の代表例で痛手を被っているのが飲食業ではないでしょうか。今回は外食業界の抱える人材の問題点です。

飲食店は事業構造的にアルバイトの時給を上げることがなかなかできていないのが現状です。時給を上げることができないが故に、人が集まらないという悪循環に陥ってしまっているのです。
コロナ禍ではアルバイトを解雇した飲食店も多い状況で、他の業種で働く選択をしたケースも多かったようです。そうした人たちが外食業界に戻ってきたかというと・・・、そういうわけではないのでしょうね。

それでは、外食業界の人手不足はどれほど深刻なのかと言うと、東京都内の牛丼の「吉野家」の場合、アルバイトが集まらないために休業へ追い込まれてしまいました。
東京の平均時給と比べても遜色のない時給1,500円でアルバイトを募集していても、人が集まらない状況・・・。
実際、パート・アルバイトなどを含む非正社員の人手不足割合の業種別は「飲食店」が85.2%で、全業種の中で唯一80%を超えるほどの高さです。その背景にはパート・アルバイトなどを含む非正社員が就業者全体の70%以上を占めているという飲食店のビジネスモデルが関係しているのでしょう。(帝国データバンクより)

飲食店は利益が出にくいビジネスのため、人件費が高い正社員をたくさん雇うのは困難です。そこで時間給のパート・アルバイトを活用して、人件費をコントロールしながら運営してきたわけです。
マイナビの調査によればアルバイト先を選ぶポイントの1位が「給与の高さ」となっている中、他の職種と人材獲得競争が起きたら、外食業界が選ばれる可能性は低くなります。
ちなみに、外食業界の全国平均時給は1,065円となっており、それより下は「販売サービス関連」「アパレル・ファッション関連」「エステ・理美容」の3つしかないようです。

飲食店も時給を上げれば良いのですが現実的には困難で、その理由は大きく3つあります。
1つはコストの上昇です。
外食業界では人件費だけでなく、原材料費の高騰も大きな問題です。
専門的には原材料費(Food)と人件費(Labor)の頭文字をとって「FLコスト」と呼ばれていますが、飲食店を経営する上で重要な指標の1つです。
FLに「家賃(Rent)」を加えたFLRコスト比率を70%に抑えることが利益を確保するために欠かせないと昔から言われています。
家賃は固定費なのでコストの削減は困難なため、人件費と原材料費をコントロールする必要があるのですが、どちらも高騰しており従来のビジネスモデルが通用しない状況に追い込まれているのです。
値上がりの品目については「電気」「食用油」「ガス」がトップ3を占めていて、いずれも日常的に使うものなのでなかなか節約ができず、コスト増としてダイレクトに負担がのしかかっている状況のようです。
このコスト高の状況に対応して多くの飲食店で値上げをしたわけですが、現在起きているFLコストの上昇は、ビジネスモデルを変革させる程に大きな出来事だとも言えるでしょう。

2つ目は生産性の低さです。
コストが上昇していても生産性を向上させることができれば、それを吸収することもできるのですが、外食業界は生産性を向上させるのが難しい業界です。
そもそも「労働集約型」であるだけでなく “消費期限”のある物を扱うため在庫が持てない。
要するに、暇な時間にあらかじめサービスを作っておき、忙しくなったら提供するということができないため、生産性の向上に限界が生じるのです。
こうした外食業界ならではの特性のために利益が出にくいビジネス構造となり、アルバイトの賃金も低いままとなってしまう。結果として、それが離職率の高さに結び付き、人手不足の原因になっているというわけです。

3つ目は低価格の価値観。
物価は上がってきたと言われていますが、ご存知の通り今の日本は世界に比べるととても物価が安い。牛丼、ラーメンの価格も1,000円札があれば十分お釣りがくる状況。飲食店は価格が「安くて当たり前」という価値観があるのではないでしょうか。
ちなみにアメリカにある日本のラーメン店だと約20ドル+税金+チップ・・・ラーメン1杯が3,000円くらいします。
日本の物価は主要先進7カ国の中で突出して低いだけでなく、ここ数十年で物価が低迷し続けているのは日本だけなのです。(経済誌『エコノミスト』)
現に、値上げラッシュがあったとはいえ、日本人の価格に対する要求は厳しく、価格を据え置いている「サイゼリヤ」や「焼肉きんぐ」のようなお店が大きな支持を集めている状況ですね。
外食業界の時給の安さと人手不足は解決できないのか?というと、決してそうではないはずです。今までにないやり方を検討しないといけないですね。

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クオリアグローバルマネジメント株式会社
代表取締役  渡邉拓久

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スタッフあるある不満セミナー報告

2023年8月28日 月曜日

以前よりお知らせしておりました「スタッフの不満あるあるセミナー」の医師・歯科医師向けを8月24日、一般企業向けを8月25日に開催致しました。

会場のカメラとプレゼンデータと合成したZoom配信画面

今回は両日とも平日ということもあり、実際にご来社いただくことが困難なお客様のためにハイブリッド方式で配信いたしました。ハイブリッド方式とは、会場の映像を同時にZoomでも配信するテレビでいう生中継ですが、スライドのデータをカメラ映像と同時に合成して配信しましたので、Zoomで参加されたお客様にはスライドが見やすい画面をお届けできたと思います。

また今回のテーマがスタッフの不満を題材にしたものですので、経営者である渡邉が全てをお話しするのではなく弊社のスタッフである経営コンサルタントの山田と平野がメインを担当いたしました。
弊社のスタッフとして、スタッフ目線で捉えたこれまでのエピソードや体験談などを交えながら「スタッフが抱える不満」や「不満のメカニズム」を分かりやすくお伝えしました。

冒頭と最後は代表渡邉が担当しました。
左:平野チーフ 右:山田チーフ

セミナーの最後に、代表渡邉が「まとめ」として4つのポイントをお話した後で、問題解決へのプロセスをご紹介しました。
とは言ってもセミナーを聞いただけでは直ぐには実践することは困難だと思いますので、10月に具体的な問題解決に必要なステップに応じた講座を設けています。
詳しくは、このブログでもお知らせしますので、よろしくお願いいたします。


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夏季休業のお知らせ

2023年8月8日 火曜日

平素は格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
誠に勝手ながら、以下の期間を夏季休業とさせていただきます。
ご不便をお掛け致しますが、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

■夏季休業期間:
2023年8月11日(金) ~ 8月16日(水)
※2023年8月17日(木)より、通常通り営業いたします。

夏季休業中に頂きましたお問い合わせにつきましては、
2023年8月17日(木)以降、順次対応させていただきます。

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最終審査会開催!!

2023年8月3日 木曜日

7月28日金曜日、産学連携プロジェクト授業の最終回、これまでのワークの総てを発表する『最終プレゼン審査会』が名古屋造形大学にて行われました。
審査会は4限目(14:40〜)から始まるので、会場は13時からの設営です。とは言え学生さん達は他の授業に出席していて不在・・・ということは、授業担当の教授2名とワタクシ下尾が早めにお邪魔してお手伝いということになりました。

金澤教授による開会宣言


14:35、20名の参加学生が各々自分の作品を持って会場入り。自分のパネルの前に作品をセットして着席。
同じくして蔵珍窯の小泉社長、弊社代表渡邉と山田Cが会場入り、審査会の空気感がグッと盛り上がります。

そして14:40、金澤教授の開会宣言がそれまで膨れ上がった重苦しい緊張感に引火したように、一瞬で学生の顔が引き締まりました。一人ずつ作品の前に来て、我々審査員と他の学生に向けてのプレゼンが始まりました。

壁面に貼られたコンセプトパネルの前に作品をセット

プレゼンの持ち時間ひとり4〜5分、審査員からの質疑応答に2〜3分。限られた時間内で自分の想いを我々審査員に伝えようとする熱い温度を感じます。

私としてはもっといろいろ聞きたい作品も数々ありましたが、グッと我慢して次の学生に進みます。

そして全体的に思ったことは、今回はプロダクト系の学生でしたが、皆さんグラフィックデザインも優れていて、パネルの完成度に驚きました。

全員の発表が終わってからは、審査委員が別部屋に移動し、受賞対象の3作品を選定する審査会を行いました。先ず各自が推したい作品を公開して集計を取り、そこから3つに絞ったのですが、本当に僅差だったので決定まで時間がかかってしまいました。


最優秀賞である『蔵珍窯賞』には、齋藤うららさんの「鞠型インテリア照明」が選ばれました!

審査会では全審査員が推した作品で、リアリティーがあり、細かなコンセプトの設定から外れず狙いがストレートに理解できる作品でした。

今回の審査基準には「商品化」という条件は敢えて外しましたが、商品化も十分に考えられる魅力がありました。

小泉社長による総評


蔵珍窯賞 齋藤うららさん
優秀賞 西村奈津希さん
審査員特別賞 増田みなみさん

さて、この後に残されたのは、『商品化』という大きなステージです。
審査会が終わった直後から、我々は商品化という視点で全作品を精査しなおし、遅くても来年度には市場に投げかける作品を生み出そうと動いています。
学生さんにとっても、自分が考えたデザインが商品化されるというのは大きな喜びでしょう。
また、商品化と並行して新たなブランディングも考えていきたいと思います。
是非、ご期待ください。

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クオリアグローバルマネジメント株式会社
ブランディングアドバイザー 下尾邦之

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開業前の先生のためのビジネス講座(最終回)

2023年7月25日 火曜日

開業前の先生方のためのビジネス講座(第5回目)を07/24(月)に開催しました。
今回は弊社の名古屋オフィスからZoomでお送りしました。
今回は5回目で最終回ということもあり内容は中身の濃いものになったと思いますが、少し予定時間をオーバーしてしまいました。

内容は、
① 専門家の役割と選び方
② 開業前に知っておくべき事
③ クオリアの開業支援
④ ビジネス講座のまとめ
という構成で、①の専門家の役割と選び方はQ&Aのアンケート方式で進めました。

開業前の先生にはご自分の認識度合いに対して実感をもって認識していただけたと思います。専門家とは、税理士、社会保険労務士、設計士、医院の広告、コンサルタントです。
開業後の先生方であっても、専門家のできる(任せてよい領域)有効活用について語られる場面はとても少ないのが現状だと思います。

いつも心掛けている点でもありますが、ありきたりな内容、アドバイスではなく先生の立場や目線で同じ景色を見ることを大切にしてます。それが度を超すと建て前を是とするような公の場では言えないような爆弾発言的なことにもなるのですが、本音を交わせる温度を保つことが大切だと思っています。

開業前の先生方は何かと不安ばかりだと思いますが、この講座を受けていただいたことで少しでも開業への追い風になれたらと思います。


クオリアグローバルマネジメント株式会社
代表取締役/経営コンサルタント
渡邉拓久

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スマホを味方につけて


皆さんは、スマホのカメラ機能ではなく、従来のカメラを使うことは最近ありましたか?
カメラの中でも最近「チェキ」が売れているようです。
確かに大型家電量販店や、東急ハンズ、LOFTなどにも販売ブースが必ずあります。
失礼ながら「今さらチェキ?まだ売れているの?!」と思っていたものの、まさかの好調な売れ行きのようでビックリしました。

ご存知だとは思いますが「チェキ」は、撮ったその場で現像された写真フィルムが出てくるというものです。
1998年に富士フイルムから発売され、今年2023年で発売25周年を迎えるそうです。
スマホの登場で、写真は誰にでも撮影できるものとなり、即座にデータをやりとりできるなど便利になりました。
スマホのカメラ機能の進化とともに、チェキのようなアナログカメラは衰退していきそうなものですが、そのアナログ感が逆に魅力となっていると言うのです。

近年はBluetoothでスマホと連携させることで、楽しみの幅を広げる製品を開発したそうです。
本体での撮影だけでなく、スマホで撮った写真の印刷もできるハイブリッドタイプと、スマホで撮った写真を印刷するためのスマホプリンタータイプの2種類があります。
特に好調なのは遊べるスマホプリンター「Link」シリーズ。初号機は2019年に発売され、ランダムもしくは簡単なテストの結果に基づく「相性診断機能」などが話題。
さらにはリニューアル製品として2022年に「INSTAX mini Link 2」を発売。
止まることなくアナログ版なりの機能を発展させているわけです。

この製品は単にプリンターとして使えるだけではないようで、プリンター本体をスプレーのように持っている姿を専用のスマホアプリで撮影することで、空間に絵や文字を描くことができるAR(拡張現実)機能を搭載しているというのです。凄い進化ですよね。
この新製品が牽引し、さらには俳優の広瀬すずさん、横浜流星さんが広告塔となりチェキで遊ぶ広告も功を奏してか、2022年国内での売り上げは前年度比3割増だったそうです。

また本体の機能だけでなく、チェキ専用フィルムのサイズ展開も拡がっています。
現状、定番のカードサイズに、2倍サイズのワイド、正方形のスクエアの3種類に拡大展開。
販売の伸びが著しいのはスクエアフィルムのようで、2022年度までに販売数量は約6倍で、さらなる販売数増加を見越しているそうです。

INSTAX mini Evo

最近では、若い女性が中心だった顧客層にも変化が出ているようで、男性層への販売の伸びが大きくなっているのが、クラシカルなデザインの「INSTAX mini Evo」。

かわいいカメラが中心のチェキのイメージを変えた製品(お値段も大人なお値段)です。

スマホの普及により、写真を撮るための機械である従来のカメラの販売台数は激減しました。
カメラはスマホの手軽さだけではないカメラ本来の撮影機能に長けていることは確かですが、プロやアマチュアカメラマン向け以外に大きな需要を作り出せていないことは、誰もが想像できると思います。

一方、チェキの使い心地や楽しさはスマホにはありません。
チェキの写真は、キーホルダーとしてバッグにぶら下げたり、透明なスマホカバーの中に挟んだり様々なカタチで活躍しているそうです。

チェキは今後も、スマホを味方につけて好調な売れ行きを維持しそうな感じですね!

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クオリアグローバルマネジメント株式会社
代表取締役/経営コンサルタント
渡邉拓久

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セミナー会場変更のお知らせ

2023年7月11日 火曜日

7月20日(木)開催予定の『問題解決のための思考の整理術』の会場が、名古屋オフィスから多治見本社のセミナールームに変更になりましたので、お知らせ致します。
尚、Zoomでのご参加も可能ですので、申込みフォームよりお申し出ください。よろしくお願いいたします。

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医師・歯科医師の先生対象セミナー『問題解決のための思考の整理術』開催しました。

2023年7月10日 月曜日

7月6日(木)、『問題解決のための思考の整理術(医師・歯科医師向』を開催しました。今回は、先月開催した内容を医師・歯科医師の先生向けにアレンジしたもので、特に対人における意識と行動に関することや行動心理学の紹介も少し追加しました。

医師・歯科医師の先生と一般企業の経営者と大きく異なる点は、管理者としてスタッフと接するだけでなく全ての患者さんと1対1で対峙するプレイングマネージャーであることです。

また、物販やサービスを提供する企業と異なり、患者さんの個人情報は言うに及ばず身体や精神というプライバシーの奥底まで触れることになるので、患者さんとの信頼関係がとても重要です。
先生だけでなく患者さんと接点を持つスタッフ全員が医院の信頼に直接関わるので、接遇等の対人マネジメントに参考にして頂ければと思いました。

実は前回もそうなんですが、冒頭に自己紹介を兼ねて私が企業時代に手がけたデザインの一部をご紹介しました。
プロダクトデザイナーの考え方やものづくりの醍醐味についてのお話しは、ついつい時間を忘れがちです。

先ずは岐阜県安八郡にあるソーラーアークの制作秘話。今ではロゴも撤去され異様な黒い建造物ですが、その存在感は今になっても圧巻です。
このデザイン担当になった経緯や、造形に隠された21世紀へのメッセージの話をしました。これはデザインした私と施工担当した鹿島建設の設計スタッフしか知りません。

そしてコンセプトが全く異なる充電式鉛筆削りの話です。
鉛筆用と色鉛筆専用の2つの差し込み口がある「ROBOシリーズ(子供用シリーズ)」と、映画「ナビゲーター」のワンシーンに採用されたリアルな宇宙船型充電式鉛筆削り「SPACIL」です。
38年前の商品ですが実物も持参して紹介しました。

次回7月20日(木)に、多治見本社セミナールームにて予定しています。Zoomでの参加も対応していますので、Zoomがご希望の方は申込時にZoomでの参加をご指定ください。
そして、いよいよ8月18日(金)から40年の実績(私の場合ですが・・・)のあるホワイトノートを活用したスタッフ研修プログラムのゼミが始まります。
是非、経営TOPの方もご自身でホワイトノートの有用なポイントと面白さを実体験していただき、研修参加へスタッフの背中を押して頂きたいと思います。
これまで、大学や企業の設計・営業企画・人事部門で採用された実績もあるホワイトノートを活用して、社員自ら「気づいて動く」ムーブメントを起こさせるキッカケになればと思います。


クオリアグローバルマネジメント株式会社
ブランディングアドバイザー/二級知的財産管理技能士
下尾邦之

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土を相手に大奮闘

2023年6月30日 金曜日

蔵珍窯様と名古屋造形大学の学生さんとの産学連携プロジェクトの成果発表まで、残すこと後1ヶ月を切りました。皆さん自分で考えた「新しい陶器」の完成を目指して真剣そのもの。
陶芸の経験が全く無い学生さんも、自分らしい世界観を表現しようとする姿は頼もしいですね。

原型を作る方法はひとつではありません。一番シンプルなのは、粘土を手で捏ねて作る方法。茶碗やお皿などを作る場合です。

何個も作る場合は、原型モデルの石膏型を作ります。作業工程が増えてなかなか大変ですが、学生さんは果敢に挑戦していました。

原型を3Dプリンタで作っている学生さんもいました。正にデジタルとアナログの両刀遣いです。
3Dプリンタでないと表現できないような複雑で精密な造形が、陶磁器で表現されるのですね。

石膏型に流された陶土の水分は石膏に吸い込まれていきます。
水分が吸われて固くなった陶土は時間の経過と共に石膏型の内側に厚みを持ちます。
求める厚みになった頃に石膏型から陶土を外に排出します。(排泥鋳込)
その待ち時間は5分から15分、おしゃべりタイムが始まります。

束の間の「おしゃべりタイム」

最終発表会は7月28日に名古屋造形大学で行われます。
蔵珍窯の小泉社長、弊社代表の渡邉と山田チーフ、そして下尾が出席します。
さてさてどの作品が商品化されるのでしょうか? (^-^)楽しみですね!

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スマホ業界に大きな波

2023年6月29日 木曜日

私達の日常生活に欠かせない存在のスマートフォン業界にも、大きな変化の波が来たようです。
スマートフォンの「arrows」シリーズやシニア向け「らくらくスマートフォン」シリーズを製造・販売するFCNT(株)が今年の5月末に民事再生法の適用を申請。
帝国データバンクの情報によると、親会社を含めたグループ計3社で負債総額は約1,200億円に上るそうです。

FCNTの主力製品である「らくらくホン」は、視力やタッチ操作に不安のある世代にもなじめる設計が特徴で、操作性においてもユーザーへの配慮があります。携帯電話の販売事業者にとっても、シニア世代をターゲットとした重要な位置付けの製品シリーズだったようです。
「らくらくホン」のような特徴のある製品を持つFCNTは、スマホ業界の「ニッチ」なポジショニングを獲得している企業ではないでしょうか。
そんなFCNTがなくなる今、事実上、国内のスマートフォンブランドはソニーの「Xperia」とシャープの「AQUOS」しか残っていないことになります。

10年くらい前は、かなり多くの選択肢があったことを記憶していますが、今やこんな状況なのですね。FCNTは直近まで通常の営業を行っていたようで、業界内でも突然の発表だったようです。
2022年からの急激な円安とスマートフォン市場の成熟化といった背景もあり、収支改善の道筋をつけることができなかったそうです。
そして、コロナ禍だった近年のスマホ業界全体は、半導体を中心とした部品不足が深刻でしたが、FCNTのようなメーカー側は為替変動などの影響を受けやすい状況だったことも、今回のタイミングでの破綻に繋がった可能性もありそうですね。

さらには、スマホの「実質価格」について、総務省の方針というメーカー側ではコントロールできない規制が絡んだこともマイナス要因に働いていると言われています。

“0円スマホ”が姿を消したことは皆さんもご存知ですよね。
日本国内の携帯電話契約者数が飽和するなか、顧客獲得のための過度な値引き競争が進むことを総務省が懸念して、通信料金と端末料金の明確な分離や、端末割引額を2万円までとする上限規制などの施策を導入したことで、「実質0円」スマホがなくなったわけです。
その結果、「実質0円」とすることで売れていた国内メーカーのミドルクラス端末の販売力が低下してきたという実態もあるようです。

その状況下で、大きな事業基盤を持つ価格競争力の高い中国メーカーが、日本の携帯電話事業者のラインナップに増加。国内スマートフォンメーカーを一段と苦しめる一因にもなっています。
そして決算状況は、2022年3月期時点で売上高約843億円に対し、売上原価は約679億円。売上原価はおよそ80.4%にもなっているという状況です。この原価の中には当然、国内での費用も含まれるわけですが、ドル建て調達の部品コストがあることも業種柄から想像できます。円安が進んだ2023年3月期の決算は未発表ですが、さらに原価率が悪化している可能性も大いに考えられます。少なからずここ数年、全く粗利が稼げていないということになります。

このような販売・財務状況の全体感からも、FCNTが自主再建を断念したのは不思議なことではないですね。
スマホ市場の中の「ニッチ」な地位を獲得してきた企業も、決して盤石ではないということです。皆さんも外部環境も含めて、先々の自社の展開を改めて見つめ直すことも必要かもしれませんね。

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