ここ数年のコロナ禍でいろいろな商売が注目されました。 例えば、“巣ごもり需要”という言葉もあったように「おうちでできるDIY」もその一つですね。そんなDIYで日本最大のDIY専門EC*「DIYFACTORY」をご存知ですか?運営は大阪の「株式会社大都」という会社です。
大都は、創業80年を超える老舗工具卸問屋だった会社で、卸問屋だとジリ貧であったため10数年前に工具のネット通販に転身。ベイシアグループ(カインズの母体)からの出資(10%)も受けているのですが、カインズとは違う手法で展開しています。
DIY専門ECの「DIYFACTORY」はリアルの店舗は持たず、自社サイトや楽天市場、ヤフーなどのECモールに出店。取り扱い商品は、工具や資材、塗料など通常のホームセンターにある商品ですが「245万点」もの商品を取り扱っていることが最大の特徴です。これだけの取り扱い商品があれば、カインズと同様に「プライベートブランド(PB)」を展開してもよさそうですが、大都はしない方針だそうです。その理由は、PB展開の影響でメーカーの商品が売れなくなり、メーカーからの商品情報や案内が少なくなることを避けるという考えのようです。
そして「DIYFACTORY」の圧倒的な強みは、1回転10日という在庫回転日数のスピードです。(通常のホームセンターの在庫回転日数は1回転150日程度)ほぼ在庫なし!驚異的ですね。
大都の商品登録のデータベースは各メーカーとAPI*連携していて、リアルタイムでメーカーの在庫が見える状態を作っているようです。商品は大都のEC全体に掲載される仕組みで、小売というよりはECプラットフォームですね。物流倉庫もコンパクトに済み、売価も安くできるわけです。
コロナ禍の“巣ごもり需要”で売上は右肩上がりに増加し、2022年12月期の売上高は約70億円を超えたそうです。ちなみにスタッフ数は20数名の会社。さすがにすごいとしか言いようがないですね。
そんな大都はプロ向けにも参入したようです。今年の2月1日に「トラノテ」という事業者向けECをオープン。 ECであれば、その分野の最大手は皆さんもご存知の「モノタロウ」です。両者共に関西の企業ですが、工具メーカーや工具問屋は大阪にはたくさんあり、物流倉庫が集まっているという利点がある地域です。
「トラノテ」は強者「モノタロウ」と事業者向けの勝負をするわけですが、できる限り“早く手元に届くこと”が非常に重要なポイントとなるため、即納できる商品点数が大切な数字となります。この事業者向け商品について「モノタロウ」の在庫点数は51万点で、大都の在庫店数の1万点弱とは大きな差がありますが、即納できる外部の連携仕入れ先を含めると「モノタロウ」の10万点に比べ「トラノテ」は17万点。在庫点数差は相当あるものの、即納商品の多い「トラノテ」にも分があるわけで、即納商品をさらに今以上増やしていけるか?も重要なことですね。
新たな展開はまだ始まったばかりですが、今後の動向が気になります。
参考サイト:DAITOhttps://daitotools.com/