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​クオリアグローバルマネジメント株式会社

​Qualia Global Management Inc.

ウィスキー復活劇の舞台裏

更新日:8月7日

イスキー、ハイボールファンの方は、最近の値上がり動向をどう思われますか?

需要の急拡大で勢いが止まらないウイスキー市場。今回は、そんなウイスキーに注目してみました。


今年の大きな話題として…


サントリーは4月1日出荷分から「響」や「山崎」といった国産プレミアムウイスキー19商品の希望小売価格を20~125%値上げしました。

とても高価なもので言うと「響30年」は税抜き16万円が2.25倍の36万円になったそうです。凄すぎますね。


一方、アサヒビール傘下のニッカウヰスキーも、もちろん値上げ。国内外のウイスキー需要の高まりに生産が追いつかず、価格が高騰しています。


サントリー「角瓶」は制限つきで販売されるなど、供給が行き届かない人気ぶりで、各社は増産に向けて巨額の設備投資を進めているそうです。


サントリーは、今年100億円規模の投資を実施すると発表しており、ニッカも貯蔵施設の増強などに60億円の設備投資を実施し、原酒不足への対応を進め継続的に投資をかけるそうです。


またハイボール缶も人気だそうで、ウイスキー市場は右肩上がりの回復を続けています。過去に大きな人気の乱高下を経験してきたウイスキーが、なぜ今、ここまでの人気なのでしょうか。


ウイスキー人気のピークは約40年以上前に遡ります。

戦後から高度経済成長期にかけ消費量は大きく増加しましたが、その後は焼酎やチューハイ、ワインのブームが次々に到来し、ウイスキーには「おじさんが飲む酒」というイメージが定着し、縮小が続いたそうです。


1990年代後半は、国産ウイスキーと炭酸水を1対3で割り、大きなグラスで提供する「Dハイ」が登場しましたが、大型広告を打つなどビールと同様のマーケティングを行ったにも拘わらず、ハイボールの認知度は低く消費者に受け入れられませんでした。

そこから焼酎が流行すると、ウイスキーと水を1対1の割合で焼酎に近いアルコール度数にした「ハーフロック」が登場。しかしながら、アルコール度数が高すぎて受け入れられなかったなど、ウイスキーはかなり悲しい歴史があったようです。

こうしてウイスキー市場は25年もの間、縮小傾向が続き…2000年代の販売数量はピーク時の約6分の1まで落ち込んだそうです。


そんなウイスキーどん底期の中、代表格のサントリーが立てた戦略とは。


当時、業界にウイスキーをジョッキで飲む発想はなかったところを「ウイスキーをジョッキで、ビール感覚で飲んでもらう」という発想へ。ターゲットを若年層に絞り、ウイスキーが濃くなりすぎないよう、山盛りの氷を入れたジョッキにレモンを搾り、ウイスキー1に対し、よく冷えた炭酸水を4の割合で注ぐ。使用するブランドは「角瓶」とし、これを「角ハイボール」として販売。


どん底期の2008年頃は 《リーマンショック》だった影響もあり、サラリーマンが安さを求めて立ち飲み屋に集まっていたことも追い風となり、角ハイは支持を集め一気にヒット商品となったのです。レシピを明確にして展開したのも良かったのですね。

ハイボールの流行はメディアにも取り上げられ、TV CMで「ウイスキーが、お好きでしょ」という、ある一定の世代なら聞いたことのあるCM効果もあって、角ハイの取扱店は一気に広まっていったそうです。そして更にブームに拍車をかけたのは「角ハイボール缶」です。



家で氷や炭酸水を用意する手間を省き、手軽に楽しめる商品として人気を集めました。それ以降は、角ハイで需要を取りきれなかった層へのアプローチとして、より手頃な価格帯の「トリスハイボール」を発売。角ハイよりもカジュアルなイメージで、20代女性などの支持を集めたのです。


2023年、サントリーのウイスキー販売金額は10数年前の約2倍となったそうです。これはブームが下火の中でも《地道な飲み方の提案》を諦めずに、試行錯誤を続けたことがウイスキーの復活につながっていったのです。コロナ禍で消費者の傾向は大きく変化し、ウイスキーやハイボール缶のような多少値段が高くても本格的なものを飲みたいという需要が増えたという流れもあり、コロナ禍を経ても、ハイボール缶の伸びは続いているようです。

物価高で節約志向が高まり低価格帯商品の競争が激化する中、ハイボールは今後も成長を続けられるでしょうか。

質と価格のバランスを重視した今後の戦略に注目ですね!

(掲載写真:サントリーのホームページより引用)



_____________ 経営コンサルタント 渡邉拓久


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