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創業10周年目に入って思うこと


あけましておめでとうございます。




旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。おかげさまでクオリアは今年の12月で創業10周年を迎えます。一企業の努力だけではカバーしきれない世界的な流れの中、あらゆる業種の会社が非常に厳しい状況に直面しています。私たち社員一同も、「お客様の最高のパートナーを目指す」という基本に立ちかえって、取り組んでいきたいと存じます。本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。




今回は、そんな厳しい企業状況にフォーカスした内容です。
国内の紳士服4大チェーンである、洋服の青山、AOKI、コナカ、はるやま。創業家の影響力は今も絶大なようですが、ここに来てその経営は大きな岐路を迎えているようです。




4社とも社長や会長に“創業家出身者”が君臨し、創業者の名前から店の屋号が付けられています。また上位株主にも創業家一族や創業家の資産管理会社が名を連ねています。




元々、紳士服チェーンが急成長を遂げたのは1980~1990年代です。「郊外路面店」を主軸とした低コストビジネスモデルで、ターゲットコンセプトは週末に車で店を訪れるファミリー層。百貨店が中心だった紳士服業界に画期的な販売手法を導入し、スーツの価格破壊を起こしたわけです。研究開発や生産設備へ多額な投資が必要となる製造業と比べ、紳士服を扱う小売業は比較的少ない投資で事業を広げられる特徴があります。各社が独自の仕入れ網の開拓、素材開発でコストパフォーマンスに磨きをかけ、規模拡大を遂げました。




2000年代に入るとオフィスカジュアルが進み、スーツの販売は苦戦を強いられることになります。大手各社は買収や、店舗跡地を活用し、外食など他事業を展開する多角化戦略に舵切りをしてきたようです。こうして何とか持ちこたえていた業績も、またまた今回の“コロナ”で大きく崩壊…。リモートワークの浸透によりスーツ需要が激減し、2020年度は4社とも“大赤字”に陥っています。




大型リストラ効果もあって青山商事とAOKIHDは2021年度に黒字化したわけですが、売上高はコロナ前と比べ20~30%減のまま推移。多角化を進めたとはいえ、もともと粗利益率の高いスーツ事業の利益の恩恵はとても大きいわけで、AOKIHDは、コロナ前の営業利益の内訳のスーツにかかる利益が50%以上。青山商事にいたっては、利益の90%がスーツ事業という依存度。時代の変化を捉えて新たな需要を創出するなど、革新的なイノベーションを起こした内容で、多角化事業参画も、実際はフランチャイズビジネスへの加入が多いようです。
しかし…この厳しい“スーツ市場”にも、商機を見出したビジネスモデルがあるのです。例えば、その一つがオーダースーツ。なかでも複数のサンプルから自分の体型に合うシルエットと好きな生地を選べる「パターンオーダー」は、1から仕立てるフルオーダーより手軽に試すことができ、幅広い世代に支持を広げているようです。




パターンオーダーで売れたのが「GINZAGlobalStyle(グローバルスタイル)」。大阪の老舗生地問屋のタンゴヤが立ち上げたオーダースーツ専門店です。顧客の約60%を20~30代が占めるそうです。1着2万4,000円という破格の安さと、生地問屋の強みを生かしたバリエーションの豊富さに定評があるそうです。海外の高級輸入生地も幅広く提供し、ファッション感度の高い若年層や、スーツを着る頻度が減った分、細部にこだわりたいという顧客のニーズを捉えたようです。オーダースーツに特化して販売展開をしているため、スケールメリットを効かせた効率的な生産体制を構築しているのです。




コロナ禍で従来の働き方から変化が生じた今は、新たな需要をつかむチャンスでもあります。創業家が築いてきた屋号の知名度は今も衰えていないわけですが、社内の知恵を絞って柔軟な発想力と機動力で、この難局を乗り切れるか…。




これからが業界の正念場となりますね。

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