減価償却で資金繰りは大きく変わる
おはようございます。クオリアの佐分利です。
黒字であっても資金繰りが窮屈な場合もあり
資金繰りに影響を与えるひとつに、減価償却費があります。
なぜ減価償却費が資金繰りに影響を与えるのかわかりますか?
それでは「脳レッジ!!」スタートです。
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財務部門「脳レッジ!!」第30回:
投資計画「減価償却費」
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あなたは、設備投資を検討する場合、どんな事に着目しますか?
・機械の生産性
・投資効果
などでしょうか?
前回、設備投資をする場合に、資産としての購入ではなく
『リース物件』を検討する方法があることをお伝えしました。
今回は、設備投資をする際に
資金繰りがどのように影響してくるのかを
具体的にみていきましょう。
【設備投資と借入金のバランス】
≪会社情報≫
1,000万円の機械購入(耐用年数10年)
年間の減価償却費:1,000万 ÷10年 =100万
≪設備投資のための融資≫
1,000万 返済期間:10年
年間100万返済
【損益計算書】 【キャッシュ】
売上 200万 売上 200万
減価償却費△100万 減価償却費 0
販管費 △100万 販管費 △100万
当期利益 0 返済 △100万
キャッシュ残 0
減価償却=借入返済額だったので、
キャッシュ残金は0円でした。
では借入返済期間が5年だった場合はどうでしょう。
【損益計算書】 【キャッシュ】
売上 200万 売上 200万
減価償却費△100万 減価償却費 0
販管費 △100万 販管費 △100万
当期利益 0 返済 △200万
キャッシュ残△100万
減価償却額<借入返済額だったので
キャッシュは100万円のマイナスとなってしまいました。
固定資産は、長期的に使用するため一括で費用にできません。
法律で決められた期間に応じて、費用としていきます。
そのため、固定資産を購入する場合、
減価償却費と借入返済バランスを
考える必要があります。
【土地購入のリスク】
≪会社情報≫
1,000万円の土地購入
税率40%
≪設備投資のための融資≫
1,000万 返済期間:10年
年間100万返済
【損益計算書】 【キャッシュ】
売上 200万 売上 200万
販管費 △100万 販管費 △100万
税引き前利益 100万 返済 △100万
税金 △40万 税金 △40万
当期利益 60万 キャッシュ残 △40万
お気づきになりましたか?
先ほどの機械の場合は、
法律で決められた期間に応じて固定資産の額を費用にできました。
しかし土地については、消耗することなく、
ずっと使い続けていくため費用とされることがありません。
そのため、機械と同じ額の土地を購入したとしても、納税が発生し
キャッシュも不足してしまいます。
…と考えると、地代を払っていた方が良いようなケースも多々あるでしょう。
資金回収ができない土地は、よほど現金に余裕がないと
資金繰りを圧迫しますので、
工場など、償却出来ない土地を含む大規模な設備投資の際は、
慎重な資金計画を立て総合的に判断する必要があります。
資金繰りを考えるうえで減価償却費は
必ず押さえなければならないポイントになります。
減価償却費は、このように会社の資金繰りに影響を与えますので
購入しようとする資産が何年で資金回収されるのかを考えて
設備投資などを計画し、資金繰り計画を立てるのが良いでしょう。